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車載用パワー半導体の動向

 日本の基幹産業である自動車産業で、電動化が進んでいます。電動化された自動車には、モーターのみで走行する電気自動車(EV)や燃料電池車(FCEV)、モーターとエンジンを共に使用するハイブリッド自動車(HEV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)があります。EV、FCV、PHEV、HEVはまとめて電動車と呼ばれていますが、このうちEVとPHEVは外部電源から充電が可能です。

 電動車には数百ボルトの電圧を持つ電池が搭載され、電池に蓄えられた電力でモーターを駆動します。モーターを駆動するための電力調整にはインバータが使われており、モーターの回転数やトルクを制御しています。また、自動車にはライトやカーナビなど数十ボルトの電圧で動作する機器用に、数百ボルトと高い電池の電圧を数十ボルトに変換するDC-DCコンバータが使われています。これらの電力調整機器にはパワー半導体が使用されています。寒冷地や熱帯地でもトラブルなく電動車が走行するには、自動車に使用されるパワー半導体も過酷な環境下で安定に動作する必要があり、優れた耐圧性や耐熱性が求められます。

 ガソリン車の「燃費」に相当する指標をEVでは「電費」と呼んでおり、「電費」は1 kmの距離を走行する際に必要な電力量(Wh/km)、または1 kWhの電力量で走行できる距離(km/kWh)で表されます。電費には、自動車の総重量やCD(空気抵抗)など燃費にも影響する因子だけでなく、インバータやDC-DCコンバータの効率からも大きな影響を受けます。

 使用するパワー半導体の材料を変更することによって、インバータやDC-DCコンバータの損失(熱として失う電力)が軽減し、電費が向上します。現在、パワー半導体に使用される材料は、ほとんどがロジックやメモリーデバイスで用いられるSi(シリコン)ですが、SiC(炭化けい素)やGaN(窒化ガリウム)など、『次世代パワー半導体』と呼ばれる材料も使用されはじめています。パワー半導体材料の特性ならびにコスト比較を表1に示します。

 バンドギャップが広いほど、高温や高電圧に強く電力損失が抑えられることから、SiをSiCに変更すると電力損失が軽減されて電費は改善します。しかし、Siに比べてSiCはコストが高く、航続距離を伸ばす目的で、一部の高級車や主力車に搭載されている状況です。今のところ普及車や格安車にはほとんど使われていませんが、今後はコストも低下していきSiCの採用が増加すると予想されます。SiC以外の材料も同様に、自動車への搭載が検討されていくと思われます。

 輝かしい宝石のひとつであるダイヤモンドは、半導体でもあります。ダイヤモンド半導体はバンドギャップが広くて熱伝導率が高い、まさに究極の半導体です。ダイヤモンド半導体がパワー半導体へ適用されていく時期はまだまだ先ですが、自動車に採用されて高性能を発揮する時代がやってくるかもしれません。ダイヤモンド半導体を含めたパワー半導体材料の技術動向に、注目していきたいと考えています。

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