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2026年、グリーン燃料がビジネスの新たなスタンダードに

 2026年に世界のエネルギー市場は「実証から実装へ」という決定的な転換点を迎えています。グリーン燃料と呼ばれるバイオ燃料や合成燃料(e-fuel)は、「実証」の域を脱し、既存の産業構造に深く組み込まれる商用化のフェーズへと突入しました。2026年以降の技術動向において、最も注目すべきは「原料の多角化」と「ハード・トゥ・アベート(削減困難)分野への特化」です。本稿ではこれらについて紹介します。

 バイオ燃料の分野では、従来の食料と競合するいわゆる第一世代原料から、非食用の農業残渣や廃食油、藻類などを活用した「第二世代以降」への原料シフトが進んでいます。特にSAF(持続可能な航空燃料)の世界における生産量は、2026年に240万トン規模に達する見通しです。2024年から2025年にかけて生産量が倍増した勢いを維持しつつ、2026年以降も米国や欧州での大規模な製造能力の拡充が続いています。これまで主流であったHEFA(水素化処理油脂)プロセスに加え、ATJ(アルコール・トゥ・ジェット)や、木質バイオマスをガス化して合成するプロセスの商用プラントが次々と稼働し始めます。これにより、航空業界における「2050年ネットゼロ」目標への道筋がより具体性を帯びてきました。

 また、水素と二酸化炭素から合成されるe-fuelは、市場普及を見据えた「コスト低減」を追求するフェーズへと移行します。背景にあるのは、再生可能エネルギー由来の余剰電力を活用した、水電解装置の大規模導入による供給量拡大です。これにより、原料となるグリーン水素の製造コストが低下し、e-fuelの経済性は着実に向上しています。つぎに需要、すなわち利用側に目を向けると、高いエネルギー密度が求められる長距離トラックや船舶は、既存のエンジンやインフラをそのまま転用できる「ドロップイン燃料」の期待が一段と高まっています。こうした需要と供給を背景に、内燃機関を維持したままカーボンニュートラルを実現する現実的な解を求めて、自動車メーカーや海運大手が主導となり、大規模なサプライチェーンの構築を本格化させています。

 さらに、この「実装」の波は、「グリーンアンモニア」の国際貿易にも波及しています。船舶用燃料としての直接利用に加え、火力発電所での混焼技術が確立されたことで、アンモニアの用途が劇的に広がりました。供給側では、中東や豪州、インドを中心に100万トン級の巨大製造プラントが相次いで稼働しています。低コストで再エネ電力が得られる地域から日本のような需要地へ向かう、船舶による国際的なサプライチェーンが実運用段階に入りました。「水素の効率的な輸送キャリア」としての地位を確立したアンモニアは、今やエネルギー地政学の主役に躍り出ています。 グリーン燃料の製造における原料の多角化は、地政学的なリスク分散のとどまらず、地域の特性を活かした「循環型モデル」の構築も可能にします。こうした取り組みによって、エネルギーの安定供給と経済性を支え、航空や海運といった脱炭素が難しい分野へグリーン燃料を重点的に振り向けることで、産業界全体の脱炭素化に向けた変化が加速しています。既存の設備やインフラを活かしつつカーボンニュートラルを目指す流れは、今やビジネスにおける「スタンダード」になっています。

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