コベルコビジネスサポート パーソネルTopics20202月)

 

法令改正などから取り上げてご案内します。

社会保険手続きの電子申請義務化が、いよいよ始まります

2020年(令和2年)4月以降に開始される事業年度から、大法人(資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人等)に対して、「社会保険手続きの電子申請」が義務化されます。現時点で、申請方法を検討中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

事前準備から申請までの流れ

電子申請では、「e-Gov電子申請」を利用します。事前準備から申請まで、大きくは次の流れになります。

■ 事前準備

電子証明書の取得

・ 電子証明書を発行する「認証局」に申し込み、入手します。

e-GovWebサイトで「認証局」等が案内されています。
https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup04/index.html

20204月以降、新認証サービスの「GビズID」でも、一部届出が可能になります。

パソコンが「e-Gov電子申請システム」に対応しているかを確認

e-GovWebサイトで、利用するパソコンの動作環境(「e-Gov電子申請システム」が正常に動作するか)を確認します。
https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup/

パソコンへ「e-Gov電子申請アプリケーション」をインストール

e-GovWebサイトからインストールします。
https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup03/index.html

■ 申請

申請データの作成

e-Govでの電子申請

 

申請方法は3種類 どのような違いがあるのでしょうか

e-Govのシステムでオンライン申請を行うには、3つの方法があります。

■ 直接入力方式

e-GovWebサイトから「1件ずつ」申請する方式です。

○メリット

CSVデータやソフトウエアなどが不要で、手軽に申請ができます。

●デメリット

・ 「1件ずつ」申請するため、入力ミスをする可能性があります。

e-Gov上で、進捗状況の確認や検索をするのが難しいです。(

■ 連記式・CSVファイル添付方式

e-GovWebサイトにCSVデータを添付し、「複数人を一度に」申請する方式です。

○メリット

・ 申請用のCSVデータを作成するツールが、日本年金機構より無料で提供されています。

日本年金機構提供の届書作成プログラム
https://www.nenkin.go.jp/denshibenri/setsumei/20180302.html

・ 上記により、直接入力方式で起こりがちな入力ミスを防ぐことができます。

●デメリット

・ 届出ごとの仕様で、申請用のCSVデータを作成しなければなりません。

e-Gov上で、進捗状況の確認や検索をするのが難しいです。(

2020年(令和2年)9月末に、e-Govが更新されます。
「マイページ」の機能が追加されて、申請状況の検索や確認、基本情報の管理等が、今より行いやすくなると思われます。
https://www.e-gov.go.jp/doc/pdf/news_e-govkoukai.pdf

API利用方式

e-GovWebサイトを利用せずに、外部の事業者が作成したAPI対応ソフトウエアから直接、「複数件の手続きを一度に」申請する方式です。

○メリット

・ 申請データの作成や入力作業が自動化され、オンライン申請が簡単です。

・ 連記式・CSVファイル添付方式のように、届出ごとの申請データを用意する必要がありません。

API対応ソフトウエア上で、進捗管理や検索がし易くなっています。

●デメリット

API対応ソフトウエアの利用料金(導入または運用費用)が発生します。

API対応ソフトウエア導入のための準備期間が必要です。

/ポイント/

申請件数や申請頻度が、判断の大きなポイントになるのではないでしょうか。ご自身の会社にはどの申請方法が適しているのか、ぜひ、上記も参考にしていただき、ご検討ください。

20204月から、電子申請の新認証サービスがはじまります

2020年(令和2年)4月から、新しい認証サービス「GビズID(ジー・ビズ・アイディー)」が開始されます。このサービスを利用すれば、一部の届出は、「電子証明書」が無くても、電子申請が可能になります。

■ 「GビズID」とは

・ アカウントを無料で取得することができ、複数の行政サービスで使えます。

・ アカウントが3種類ありますが、社会保険の手続きでは、そのうち「gBizIDプライム」というアカウントを利用します。

■ 「gBizIDプライム」のアカウントを取得するには

・ 「GビズID」のサイトで申請書を作成・印刷し、運用センターへ郵送します。

・ アカウント取得にあたり、次のものが必要です。

・ スマートフォンまたは携帯電話(ワンタイムパスワードをSMSで受信)

・ メールアドレス(アカウントIDとして申請書に記入)

・ 印鑑(登録)証明書と登録印(申請書に押印、印鑑(登録)証明書も送付)

・ 「gBizIDプライム」の詳しい手続き方法はこちらに掲載されています。

https://gbiz-id.go.jp/top/manual/manual.html
  利用者向けマニュアル/GビズIDクイックマニュアルgBizIDプライム編

■ 社会保険の届出における、20204月時点でのGビズID利用可能状況です。

 

201912月公表内容)

社会保険の種類

届出名称

電子申請
義務化対象

GビズID
利用可能

厚生年金

被保険者資格取得届

保険

被保険者資格喪失届

 

被扶養者(異動)届

 

国民年金第3号被保険者関係届

 

被保険者賞与支払届 / 70歳以上被用者賞与支払届

 

被保険者報酬月額算定基礎届 / 70歳以上被用者算定基礎届

 

被保険者報酬月額変更届 / 70歳以上被用者月額変更届

健康保険

被保険者資格取得届

 

被保険者資格喪失届

 

被扶養者(異動)届

 

被保険者賞与支払届

 

被保険者報酬月額算定基礎届

 

被保険者報酬月額変更届

労働保険

労働保険概算・増加概算・確定保険料・石綿健康被害救済法一般拠出金申告書

雇用保険

雇用保険被保険者資格取得届

 

雇用保険被保険者資格喪失届

 

雇用保険被保険者転勤届

 

高年齢雇用継続給付支給申請

 

育児休業給付支給申請

 

個人番号登録届

 

 

 

 

/ポイント/

今までは、申請の際に、電子証明書用のパソコンに申請データを移動させる必要がありましたが、「GビズID」を利用すれば、申請データの作成から申請まで、ご自身のパソコンで、一貫して作業できるようになります。

「支払調書」や「給与支払報告書」も、電子媒体での提出義務対象に該当しませんか?(20211月提出分より)

「支払調書」と「給与支払報告書」は、前々年度の支払調書等の提出枚数により、電子媒体の提出義務に該当するか否かが判断されます。
2021
年(令和3年)1月提出分より、その判断基準が引き下げられます。

20211月提出分からは、前々年度の提出枚数が「100枚以上であれば、電子媒体(e-TaxeLTax、光ディスク等)で提出しなければなりません。

支払調書

前々年度の当該支払調書の枚数が
100
枚以上

(法定調書の提出義務者ごと、支払調書の種類ごとに判定)

e-Tax、光ディスク等の電子媒体で提出

給与支払
報告書

前々年度に税務署へ提出された「給与所得の源泉票」の枚数が100枚以上

(提出義務者ごとに判定)

eLTax、光ディスク等の電子媒体で提出

・ 現行は、前々年度の提出枚数が1,000枚以上であれば、義務対象です。

■ 例えば、「給与支払報告書」では、次のように判断されます。

2019
(
平成31)

2020
(
令和2)

2021
(
令和3)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「給与所得の源泉徴収票」税務署提出枚数が

110

⇒⇒⇒⇒

電子媒体で提出の

義務あり

2022
(
令和4)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

95

⇒⇒⇒⇒

義務なし

2023
(
令和5)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

105

⇒⇒⇒⇒

義務あり

2024
(
令和6)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

110

⇒⇒⇒⇒

義務あり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

110

⇒⇒⇒⇒

■ 「源泉徴収票」は、「給与支払報告書」と一括して、eLTAXでも提出することができます。
また、eLTAXでは、201910月より、申告だけでなく、複数の地方公共団体へ、電子納税もできるようになりました。(地方税共通納税システム)
https://www.eltax.lta.go.jp/news/files/20190802/IHP4-pamphlet_20190619.pdf

/ポイント/

大幅に基準が引き下げられています。義務化対象に該当する場合は、2020年(令和2年)の年末までに、eLTAXの導入、または、光ディスク等での申請準備をしましょう。
また、「給与支払報告書」を提出する自治体数が多い場合は、eLTAXが便利です。

 

 

ご清覧いただきまして、ありがとうございます。

昨年の11月に給与計算実務検定1級を受験し、合格することができました。
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年目になり業務量も増え、試験勉強を始めるのが遅くなってしまったのですが、自宅で空いた時間にテキストを読んで、計算問題を繰り返し解き、間違えたところはまとめるなどして、勉強しました。
1
番大変だったのは、2級では無かった年末調整の範囲です。年末調整は一度しか経験していないですし、計算で注意するところも多く、とても難しかったです。
検定を通して学んだ知識を、今後の業務に生かしていきたいと思います。(U/入社2年目)

ご希望の内容などございましたら、貴社の給与計算業務を受託しております弊社担当者まで是非お申し付けください。
なお、当記事は、20201月時点で公表されている制度内容等を基に作成しています。

 <編集担当:パーソネルサービス部 第二業務グループ>