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■■■ KBP講師のお役立ちコラム(講師:月替) ■■■
~KBP講師が人事担当者様・ビジネスパーソンの方々へ役立つヒントをお伝えします~
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ビジネス研修部 研修開発グループ 今岡 伸一
日常会話において、「あれ、やっといて」「うん、わかった」というやり取りで、誤解なく
意思が伝わり、適切な行動ができることがあります。長年の付き合いがあれば、お互いに相
手を理解していて、詳細な説明を必要としないわけです。
しかし、一般的には、言いたいこと(結論、主張)を正しく理解してもらうためには、ロジ
ック(論理)が必要になります。
数学では、公式にあてはめることで、正解(結論)を求めることができます。
たとえば、ある図形が円であり、その半径が10㎝であれば、その面積は約314㎠になります。
そこには、公式(面積=半径✕半径✕円周率)という絶対的な論拠が存在していますので、
データ(図形が間違いなく円であること、半径が正確に10㎝であること)が正しければ、
結論も正しくなります。
論理性を確認するために必要なことは、データ(情報)の正しさとそのつながり(論拠)
の正しさです。
しかし、一般社会(ビジネスや社会生活)では、数学のようには導けないことが多く、どの
データを使って、どんなつながりで展開するのかを工夫する必要があります。
まず、前提となるデータ(情報)について考えると、世の中には嘘や捏造したものもあれば、
不確実あるいは曖昧なものもあります。さらに、主観的なもの、定性的なものは、その解釈
により差が生じます。
デマや風評などによって、事実とは異なる主張が行われ、世の中に影響を及ぼした事例はた
くさんあります。コロナ禍においても、様々なデマが流され、それを信じた人に悪影響を与
えました。特に、不安や混乱などの環境下では、怪しい情報を信じやすくなります。
データは事実で確かなものであっても、それを結論に結びつけるための論拠が弱いと、論理
性も弱くなります。数学のような公式があれば良いのですが、一般的には、法律や規則など
のルール、経験や慣習、道徳心や倫理感、などが用いられます。しかし、その解釈は一様で
なく、必ずしも客観的な論拠にならない場合もあります。
また、論理展開には、さまざまなパターンがありますので、状況に応じて選択します。また、
どのデータを使って、どの論拠にしたがって、結論に結びつけるのが最も効果的であるかを
考えます。
ロジカルシンキングでは、思考のプロセスを学び、データおよび論拠の選び方・信憑性の確
認を行って、相手の納得を得ることにつながります。
反対に、相手の説明に納得できない場合は、データの出所や信憑性、論拠の正しさを確認す
ることで、論理性を疑い、説明してもらうと良いでしょう。どこかに矛盾があれば、結論は
成立しなくなります。
また、相手の理解力や専門性を考慮して、難解な用語や言い回しを避け、できるだけ平易な
ことばを使い、結論までのつながりをわかりやすく説明することも重要です。
例えば、小学生に「なんで、お野菜の値段は、上がったり下がったりするの」と聞かれて、
「それはね、需給バランスの関係で、供給過多になると安く、需要超過になると高くなるん
だよ」と説明しても、わかってもらえません。
「トマトが8個あって、5人が1個ずつ欲しいと言うときは、みんな買えるね。でも、他に
買ってくれる人がいないと、余った3個は腐るので、値段を下げてでも売りたいよね」
「反対に、トマトが3個で、5人が欲しいと言うと、足らないね。5人とも買いたいので、
ケンカになるかもしれないけど、お店が値段を高くすると、それでも欲しい人が買うかな」
「これでわかったかな。買う人より売るものが多くなると値段が下がってきて、少なくなる
と上がるんだよ」と説明すれは、理解してもらえると思います。
ロジカルシンキングは思考展開の基本だけでなく、良いコミュニケーションの必須条件で
もありますので、チーム活動をうまく進めるために役立ちます。
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□ロジカルシンキング~思考プロセスの基本を学ぶ~
【日 時】2023年5月15日(月)~16日(火)
【会 場】オンライン(Zoom)
【狙いと効果】
・話す、書く、聞くという基本行動のベースとなる“論理的”な思考のプロセスを学びます。
・思考におけるモレやダブリをなくし、効率的かつ効果的な思考ができるようになります。
・論理的に展開した資料を作成することで、相手の納得性を高めることができます。
・思考展開のツール(手法、図法)を用いて演習を行うことで、実践により習得します。