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平成23年特許法等の改正について~3~

今日味新深(No.44:2012/2/16)

さらに引き続き平成23年特許法等改正の内容について紹介します。

<法律改正の内容 その3>

④再審の訴え等における主張の制限(特許・実用新案・意匠・商標)

(ア)従来の問題点

 特許等に関する紛争の解決には、裁判(裁判所)と審判(特許庁)という2つのルートがあるため、従来はこれをうまく利用すれば判決を覆せたという問題がありました。
これも時系列で説明します。

第一段階

 特許権者A社が「B社は我が社の特許権を侵害している」と考えた場合、原告となって裁判所に「特許権侵害訴訟」を提起できます。これに対してB社は被告として「A社の特許は無効だ」と主張する機会があります。
しかしB社がこれを活かせず敗訴し判決が確定したとしましょう(例えば、A社の差止請求と損害賠償請求を認容する判決が出てこれが確定した場合が考えられます。これはB社にとっては大変なことです)。

第二段階

 被告B社は裁判では敗訴しましたが、まだ特許庁に「特許権者A社の特許は無効だ」として「無効審判」を請求する道が残されています。そしてもしも特許無効の審決を得てそれが確定したとしたら、どうなるでしょう。
特許法では無効審決の効果として特許が初めからなかったものとみなすと規定されているので、民事訴訟法により侵害裁判のやり直しの可能性があります(「無効審決が再審事由に該当する可能性がある」ということです)。

しかし・・・

 それでは紛争の蒸し返しになります。しかも元々裁判においてもB社は特許無効の主張をする機会があったにも係わらず敗訴したわけです。
そのためB社が裁判でなく特許庁の審判において特許の無効審決を得たとしてもそれを理由に裁判のやり直し(再審)を主張するのは適切でないと考えられるようになりました。

(イ)改正点

 改正後は、特許侵害訴訟の当事者は特許無効の審決が確定したことに基づいて侵害訴訟の判決に対する再審の訴えを提起できないものとされました。

⑤新規性喪失の例外規定の見直し(特許・実用新案)

(ア)従来の問題点

 発明は特許出願前に公表されると新規性を喪失します(公知になるという意味です)ので原則として特許を受けることができなくなります。しかしこの原則を厳格に貫くと法の趣旨である「産業の発達に寄与すること」に反する場合があります。

例えば

 発明を行うために試験を実施したとしましょう。
もし試験の実施が公表に当たるとして新規性を喪失するとされたら発明の効果の確認が困難になる恐れがあります。そこで従来から特許法は「新規性喪失の例外規定」を設けていました。
具体的には、「特許を受ける権利を有する者自らが、試験を行い、刊行物に発表し、電気通信回線を通じて発表し、特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表し、又は特定の博覧会に出品」した場合は例外とされる(新規性喪失しない)ことになっていました。法が「試験」や「刊行物に発表」など個々の「態様」をもって規定している点に注意してください。

ところが

 その後この個々の態様をもって規定している例外規定が現実に合わなくなってきました。
例えば、技術の高度化・複雑化による研究開発費の増大やリスクの増大を背景として、発明者が資金調達をしたい、そのために投資家を集めて説明を実施したいというニーズが増えてきたといわれています。そこでこのような場合の公表は、例外(新規性を喪失させない)とすべきだと考えられるようになりました。
またインターネットを通じて動画配信された発明は例外とされる一方で、テレビで発表された発明は例外とされないといった不均衡も指摘されていました。そこで例外とされる対象(発明)を見直すことになったのです。

(イ)改正点

 改正後の特許法は、例外規定の適用対象となる発明を「特許を受ける権利を有する者の行為に起因して新規性を喪失した発明」という表現にしました。
この表現は改正前(個々の態様をもって規定していた)に比べて漠然としていますが、それは公表態様(公表の仕方)の多様化に対応できる規定にするためです。また新規性を喪失した発明とは公知になった発明という意味です。ただし「内外国特許公報等に掲載されたことにより公となったもの」(発明)は例外とされません(つまり新規性を喪失する)。

<施行期日>

 平成23年12月2日政令第369号により平成24年4月1日とされました。

特許法等の改正点はこの他にもありますが、この回をもって一旦終了とさせて頂きます。
また機会がありましたらお伝え致します。

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