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ナノマテリアルに関するリスク評価の動向

今日味新深(No.36:2011/09/09)

 ナノマテリアルは1次元、2次元、あるいは3次元の外形寸法がナノスケール(1nm~100nm)で、分子と材料(分子集合体としての材料)の中間の大きさとなる物質です。この程度の大きさになると、分子、材料とも異なる性質を示し、新機能物質として期待されています。

 カーボンナノチューブやフラーレンなどといった言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、これらはナノマテリアルの代表的な物質です。酸化チタンや酸化亜鉛などもナノスケールまで粒径を小さくすると紫外線の吸収率が上がるなど性質が変化することが知られており、化粧品や日焼け止めなどの日用品に広く使用されています。

一方で、従来安全と見なされていた物質でも、ナノマテリアルにすると新たに有害性が生じるのではないかとの懸念があります。確かな証拠はありませんが、3次元的にナノスケールであるナノ粒子や、2次元的にナノスケールであるナノチューブなどは、体内で移動しやすいことや、形状がアスベストに似ていることから、その有害性が憂慮されています。

しかしながら、ナノマテリアルが物質としては同じでも、サイズおよび形状が異なると、機能・有害性などが異なること、ナノ粒子は凝集しやすく評価時にナノスケールかどうかを判定できないなどの理由で、ナノマテリアルの有害性の評価・検証は難しい状況にあります。

このように、ナノマテリアルの有害性評価手法の確立および標準化を一企業や一国で行うのは大変です。そのため、OECDでは主に評価手法を、ISOでは主にナノマテリアルの定義、標準化を対象に共同開発が進められています。わが国では、OECDの中でカーボン系3種類のナノマテリアルに対する有害性評価を鋭意進めており、2009年10月16日に中間報告書が報告・公表されています。ただし、これらの試験結果はあくまでも暫定値として評価されたものであり、2011年9月の最終報告書の公開が待たれるところです。

ナノマテリアルの法規制に関して、欧米にいろいろな規制がありますが、状況は流動的で、今後注目していく必要があります。

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