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低温排熱利用システムの市場調査の例から

今日味新深(No.51:2012/6/20)

 第一次オイルショック時から、省エネのための排熱有効利用の研究開発が行われ、日本の省エネ技術を世界のトップクラスに押し上げてきましたが、経済性の面から低温排熱の有効利用は進んでおらず、特に遅れている200℃以下の排熱に関する有効利用が重要視されています。

 当社では、「未利用低温排熱を活用した発電システムの技術開発」という(財)にいがた産業創造機構(NICO)の市場開拓技術構築事業の一環として、「排熱利用実態」と「この技術のターゲットとすべき業種の選定」等の調査を2010年度から2年間受託、実施しました。
 ここでいう発電技術とは、排熱と冷却水で作動流体を膨張・収縮させてピストンを動かして発電するスターリングエンジンのことで、2kW級と小規模ながら200℃程度(150℃以上)の工場排熱でも利用できる技術を目標としています。

 想定した規模を前提として、主に中小企業の中で製造工程において何らかの排熱源を持つ、食品製造業、鋳物製造業を対象として、アンケートを中心に調査を進めた結果、意外にも、有効活用されている排熱は、エネルギー管理指定工場に限っても2割程度で、それ以外の工場では1割を切るなど、排熱利用があまり進んでいないことがわかりました。
 また、投資回収シミュレーションを実施した結果、技術開発を行うに際しては目標コストと同様に設備の稼働時間の現実に即した想定が重要であり、対象とした業界の中では、ダイカスト製造および豆腐製造の業界において、比較的年間稼働時間が長い企業が多く、投資回収の可能性が高くかつ排熱量も適切であり、本技術導入が有望との結果が得られました。

 一方、過去に、一般財団法人省エネルギーセンターによって行われた工場群の排熱実態調査では、圧倒的に100~200℃の低温排熱が多く、全国で716,000TJ/年1)が発生していると推定されています。主な排出業種は、エネルギー消費の多い電力、化学、鉄鋼であり、その主な排出設備は発電設備、加熱炉、焼却炉、ボイラー、焼成炉です。このような設備の排熱の大部分は、元の高温の状態から何らかの排熱回収を行った後のものであることが推測されます。今回の受託調査では規模の点からこれらの業種は対象外としましたが、温度レベルおよび規模の観点から、今後の有望なバイナリー発電2)の適用市場と思われます。


1):TJ/年:テラ・ジュールの略号。テラは10の12乗のことで、ジュールは熱量単位。
2):バイナリー発電:フロンやアンモニア、プロパンガスなど沸点の低い作動媒体を加熱・気化させてその蒸気でタービンを回すシステム。従来発電に向かないとされていた工場やプラント、廃棄物処理場などからの温排水、加熱炉の排ガス、温泉や蒸気などの比較的低温の熱源を利用できる。

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