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中国の省エネ・新エネの促進について

今日味新深(No.20:2010/11/1)

 中国では1998年に省エネ法が施工、2008年4月に改正され、奨励措置としての優遇策や資金援助が明記されています。国は地方人民政府の考査評価の項目として省エネルギー目標の達成状況を取り上げることも示すなど、省エネに政府として強い姿勢で取り組むことを表しています。「省エネ推奨技術目録」に関して、最近もパブリックコメントが出され、また、「中国2050年低炭素発展之路」では風力や太陽熱に関して非常に大きな導入目標を掲げています。

 このように、潜在的なビジネスチャンスは極めて大きいと思われますが、現実的には、日本企業にとって省エネ・新エネ機器ビジネスが成立するのかどうか、成立させるためにはどうすれば良いか、ということを多くの企業が期待と懐疑を交えて見ている状況と思われます。

注目する地域の一つがオルドス市です。同市は内モンゴル自治区にあり、カシミアの産地で有名でしたが、現在では天然ガスなどのエネルギー資源とレアメタル関係の資源に恵まれ、エネルギー関係、金属関係、自動車関係等の産業誘致が進み、豊かな地域となっています。

2009年9月には、米国太陽電池大手のファーストソーラーが中国政府とオルドス市に2,000メガワット(原発2基分)の太陽光発電所を共同で建設する覚え書きを締結したと報道されています。さらに新エネルギー産業モデルパークの開発を進め、風力6,950メガワット、太陽光3,900メガワット、太陽熱720メガワットなど凄まじい規模の導入計画となっています。

また、米国のシリコンバレーにちなんで低炭素バレーを標榜し、低炭素関係の産業集積をめざす中で、清華大学の低炭素関係技術の研究施設が開設される動きになっています。

7月下旬にオルドス市で、クリーンエネルギーとグリーンエコノミーに関する国際フォーラムがあり、そこに参加する機会を得ました。本フォーラムは、前述の清華大学研究施設開設の動きの中で開催されたもので、清華大学とエネルギー関連で関係が深い、ドイツや欧州、米国、などからの参加がありました。

フォーラムにおける発表内容としては、中国では石炭火力の高効率化が重要で、既に超臨界石炭火力発電の導入が進んでいるが、更に最新鋭の超超臨界の普及を進め、次いでガス化発電、二酸化炭素分離貯留の重要性を訴えるという正統派の講演から、太陽電池技術、燃料電池技術、バイオマス発電技術、スマートグリッドに関する技術など、各国研究機関からの技術紹介がありました。休憩時間や懇親会における会話中から興味深く感じたものを紹介致します。

まず、中国は全くの更地にモデル都市を建設するケースもあり、エネルギー系も全く更地から動くこともあります。そのため、日本よりも大胆な設計が可能であり、早くプロジェクトが動く可能性が高いように思われます。

次に、省エネ設備に対しては、設備単体ではなく、メンテナンスも含めた一連のソリューションが求められていることが、投資会社との話から得た感触です。水処理分野で日本は機器単体ビジネスモデルを適用しようとして、欧州の運営サービスを含むビジネスモデルに対して、大きく出遅れてしまったことがありますが、エネルギー分野でも同様な危惧を感じます。

なお、オルドス市は明らかに不動産バブルで、人が住んでいない高層マンションがズラリと並んでおり、ニュースでも報道されている有名な地域です。オルドス市の大きな新エネ投資構想もバブルの中にあるように思います。それでも、中国の省エネと新エネ導入は進んで行くと思われます。各地域でいろいろなプロジェクトの噂話を聞きます。情報チャネルを広く持っておくことが重要と考えます。

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