今日味新深(No.22:2010/12/17)
現在、中国で実施されている「十一・五」(2005-2010)がまもなく完了するに伴い、次期「十二・五」(2011-2015)計画実施案が10月から中央政府にて審議され、2011年5月に正式に発表される予定です。
この中で、日中協力がもっとも進んでいる省エネ分野の「十二・五」計画の実施案は国家発展・改革委員会によって作成されており、同実施計画案では資源税の全面改革や新興産業の発展戦略、契約方式によるエネルギー管理などの推進が新しい項目として取り上げられると報道されています。
これまで、中国政府は企業などにおけるエネルギー消費削減に対しては、基本的に勧告・指導・奨励という手法を通じて求めてきましたが、「十二・五」においては、エネルギー消費削減量が、二酸化炭素の排出量や主要汚染物質の排出総量と同様に約束指標として明確化されるとともに、省エネ関連国家基準の制定などによって、企業・事業所などの省エネ活動に対して法的拘束力を与え、これを犯した場合は法的措置が取られることになります。この処置は企業の省エネ意識を高める狙いと政府関係者から聞いています。
また、「十二・五」では、7つの新興産業(「省エネ・環境産業」、「次世代情報技術産業」、「バイオ産業」、「最先端設備製造業 」、「新エネルギー産業」、「新材料産業」及び「新エネルギー自動車産業」)の発展戦略が打ち出され、そのトップと上げられているのは「省エネ・環境産業」です。これは中国政府が引き続き「省エネ・環境」という分野を重要視していることを示すものと考えられます。
新聞報道によりますと、「省エネ・環境保護産業発展計画」が国家発展・改革委員会と環境保護部により共同作成され、その完成版はまもなく国務院で審査されるとのことです。
ここでは「省エネ・環境産業」に関して、先進的な省エネ技術の産業化、省エネ技術の改良、省エネ製品の普及、都市・鎮(鎮は日本の町村に相当)下水処理、煤煙脱硫・脱硝処理、重金属汚染処理などの施設の建設、クリーン生産などの重点プロジェクトが計画されており、余熱・余圧利用装置や吸収式の新型熱電併給集中熱供給技術などの高効率な省エネ技術・設備に対して財政、税制、金融などの面から政府の支援が受けられると思われます。
先日、上海で開催されていた省エネ・環境ビジネスの技術セミナーにおいて、「十二・五」の環境保護投資規模は「十一・五」の15,433億元(約20.1兆円)の2倍の31,000億元(約40.3兆円)との見通しであると発表されました。
これは省エネ・環境技術に強みをもつ日本の企業にとっては間違いなく、魅力的な投資環境になると思われます。そのためには中国の政策や市場のメカニズムおよび市場のニーズを十分に研究し、自社の製品、設備、技術の差別化点を十分に認識した上で、中国現地のパートナーを作って中国市場に適したコストとなるような製品を共同開発し、市場参入するのも一つの方策ではないかと思われます。
このような機会には、これまでの当社の経験や実績がお役に立つものと考えておりますので、お気軽にご相談下さい。