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LCAによる環境負荷評価

今日味新深(No.65:2013/2/22)

 環境負荷とは、人間が生存している環境に及ぼすマイナスの影響を指します。これには人為的に発生するもの(資源採取、廃棄物、公害など)と自然に発生するもの(地震、火山噴火など)の両方が含まれます。

 このうち人間の生産活動により発生する環境負荷を、資源採取から製造、使用、廃棄に至る全ライフサイクルについて定量的に分析・評価する手法がLCA(Life Cycle Assessment)です。

 産業革命以前のように人間の生産活動が小規模な場合は、人為的な環境負荷は小さく無視できるものでしたが、近年、エネルギーの大量生産、大量消費が進み、公害などに代表される環境汚染や石油などの地下資源の枯渇が懸念されるようになりました。
 また、人為的に発生した二酸化炭素の増加に起因すると考えられている地球温暖化に伴う気候変動は、真水資源の枯渇、農業・漁業などに大きな影響を及ぼし、食糧問題を深刻化させています。

 LCAはモノである「製品」以外に、「サービス」や「製造プロセス」「廃棄物処理プロセス」等のシステムも対象となります。LCAを活用して、消費者がより環境負荷の少ない製品やサービスを選択し、企業がより環境負荷の少ない製品を開発することにより、環境負荷の低減を図ることができます。その他、LCAの考え方を応用して、製品や家庭生活における環境負荷をライフサイクル的な視点で評価しようとする検討も進められています。

 さてLCAを適用するためには、適用する製品を生産するために必要な材料や資材、また電力、重油などのエネルギー量を明らかにする必要があります。これらのデータはインベントリデータと呼ばれますが、製品の値段・生産性などに直結するため、製造企業などから明らかにされることはありませんでした。そのため、社団法人産業環境管理協会や日本LCAフォーラムなどが中心となり、各工業組合や協会などの協力を得てデータベースの整備を行っています。

 また政府も環境負荷低減を推進する政策を進めており、例えば、国土交通省では総合技術開発プロジェクトとして建設物のLCA手法の開発を進め、インベントリデータベースの整備を行うと共に、開発されたLCA手法を公共工事の構想段階における計画策定ガイドラインおよびグリーン調達制度に適用して、環境負荷の少ない工法および資材の使用を勧めています。

 このような低環境負荷製品・サービスの使用推進は今後ますます盛んになると予想されます。一例として、高張力鋼板やアルミニウムを自動車車体に採用し、運転時のCO2排出量削減を図ることが挙げられます。

 弊社では、「自動車アルミ化による生涯エネルギー調査」やプラント関連では「水処理設備LCA調査」などのLCA評価、産環境インベントリデータベース作成を行ってきました。
 低環境負荷社会の構築に向けて、今後ともLCA評価は重要な視点であり、弊社はLCA評価を活用しながらお客様の製品開発やプロセス開発を支援して参ります。

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